2012年新作映画ベスト10 PV

やっとつくりました。昨年見た新作映画ベスト10の予告編からPVを作りました。



高画質に切り替えられますので、ぜひHD(720p)と全画面・大音量で。
このページに埋め込まれたもの↑だと画質を変えるネジのボタンが見当たりません。画質を切り替える場合はリンク先のYoutubeのページにて ありました。あれ、でも今度はフルスクリーンにできないぞ、ボタン押しても……リンク先のYoutubeのページにて……)
各作品についての詳しい話はまたあとでアップします。

新年に観た新作映画のおさらいと『レ・ミゼラブル』の失敗

2013年に入ってから今日までに観た新作映画は7本。

 『ホビット 思いがけない冒険』@ユナイテッドシネマとしまえん
 『レ・ミゼラブル』@新宿バルト9
 『LOOPER/ルーパー』@新宿バルト9
 『砂漠でサーモン・フィッシング』@新宿ピカデリー
 『テッド』@TOHOシネマズ渋谷
 『フラッシュバック・メモリーズ3D』@新宿バルト9
 『ライフ・オブ・パイ』@ユナイテッドシネマとしまえん

ホビット』、『ライフ・オブ・パイ』はIMAX3D、『フラッシュバック・メモリーズ』は通常の3D、それ以外は2Dで鑑賞。忘れないうちに感想を書いておく。

【以下、『タイトル』― 映画の要約あらすじ】


ホビット 思いがけない冒険』 ― 小人とじいさんとヒゲのおっさんたちの冒険物語


昨年夏の『アベンジャーズ』以来、IMAXで観るときにお世話になっているユナイテッドシネマとしまえんにて。デートでも家族サービスでもないのに豊島園駅で電車を降り、一人で劇場へと歩く。平日の夜で助かった。休日のお昼とかじゃなくて良かった。

「大丈夫だよ、豊島園そんなに流行ってないから」

夜遅くの回だったこともあってか広い劇場内に客は数人。

ホビット』を観る前に『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を急いで観てから劇場へ。『ホビット』の冒頭でフロドが登場。なんだか懐かしくなってジンとした。(ロード・オブ・ザ・リング観てから数時間しか経ってなかったけど。そしてその後、イライジャ・ウッドとは『シン・シティ』で再会。そっちの方がいいよ)

おもしろかった。ビルボの人がハマリ役でわかりやすく笑える。序盤、冒険の仲間たちがビルボの家に集まって宴会始めるところなんかコント。展開は古典的だけれど、まぁもともとそういうものだし、それがいいんですよね。ムサい男たちに泣けます。

そして映像の鮮明さ。HFR(ハイ・フレーム・レイト)とかいう単位時間当たりのコマ数がいつもより多い撮影技術を使ったものらしい。それにIMAXのどでかいスクリーンと3Dが相まってグングン引き込まれる。洞窟内の追いかけっこには酔いそうなほど視覚を揺さぶられたし、石の巨人の壮大さには圧倒された。そして、あの朝焼けのシーン。ビルボたちを乗せたコンドルが目の前で飛んでいるように見えて、スクリーンの中に一瞬本当に入り込んだかのように感じた。それだけでなんだか泣けた。(意味なく映像のすごさのみで涙を流すことをプロメテウス現象と呼ぶ)

とか言いながら中盤で少し意識を失ってしまった。いや、劇場へ向かう電車の中からすでに強い眠気に襲われていたし、スクリーンに入る直前に松屋でネギたま牛めしを食べたからなんだ、決してつまらなかったわけじゃない。(でもやっぱり中盤ダレたかも)

十分楽しんだ。映像も物語も両方しっかりとしていてプロメテウスとは比べ物にならない。続編が楽しみ。

あ、忘れてたけどゴクリも相変わらず良かった。ちょっと笑っちゃうくらい。




レ・ミゼラブル』 ― 受難・苦難・そんなんばっか

これは困った。観ている間、ずっと困っていた。劇場を出てからも困っていた。

「楽しめない……」

もともとあまり観る気はなかった。劇場で予告編を見る限り「ないかな……」というのが率直な感想だった。お涙頂戴モノ感がビンビンに出ているし、しかもミュージカルだし、なによりアン・ハサウェイが痛々しい。キャットウーマンが何やってんだ!あのプリケツはどこへ行った!?プリケツ・プリクエル!
…失敬。
 
唯一、大好きなサシャ・バロン・コーエンが出ている。それだけが劇場で観るわずかなモチベーションだった。「彼が出てるなら……でも、チョイ役みたいだし」

けれど、新年に入ってから周りの数人が(すみません、盛りました、2人です)好意的(1人は賞賛)な感想を述べていた。SB・コーエンもいい働きをしているらしい。それが後押しとなって劇場へ足を運んだ。

けれど、全然入り込めなかった。サシャ・バロン・コーエンだけは笑わせてくれた。SB・コーエンが経営している宿屋の紹介シーンはミュージカルとしても楽しめたけど、それくらい。この失敗については後でもう少し考える。




LOOPER/ルーパー』 ― 30年後の自分が何の罪もない子供を殺そうとしているのですが止めた方がいいでしょうか?

最高だった。

ラストシーンに重なるホワイトフェード。その静寂の中、幕を引くエンドロール。暗闇をバックに流れる曲が二時間の記憶を廻らせ、涙がこぼれる。最後のエンドクレジット、スクリーンの中心に大きく『LOOPER』という文字が打ち出された瞬間、「完璧だ」と感じた。


 


この時点で2013年ベストの映画。エンドロールで泣いたのは初めて。もう一度、劇場で観たい。

やはり、というべきか、この映画については色々と設定上の指摘があるし、「言われてみれば〜」なことも出てくる。けれど、今と地続きの未来観もリアルに感じたし、劇場で一本の映画として観たときには、欠けていたようなピースがはまったような読後感ならぬ観後感があった。

「お前さん、映画観るときに細かいところみないで、ずいぶんざっくりみてんのな」

その通りとしか言いようがないし、あんまり深い洞察もできないのですませんと謝ることしかできない。「楽しんだんだからいいじゃんかよ!」と言い切ることもできない。

「でも、まぁいいか。好きだし、もっかい観にいこ」

子役の男の子がナイス演技してました。




砂漠でサーモン・フィッシング』 ― 砂漠でサーモン・フィッシング

僕は好きです。上の大作と比べるのはかわいそうだけどやっぱり少し軽いかな。でも好きです。

これも劇場で予告編を観たときは「なんだかなぁ」と感じたけど、「ユアン・マクレガーが出てるし…」(『人生はビギナーズ』で好印象を抱いている)と観に行ったら正解でした。あの景色を劇場の大きなスクリーンで観れてよかった。

人生はビギナーズ』より深くはないけど、小さなユーモアが散りばめられている柔らかい雰囲気は好きです。アルフレッドのコミュ力の欠如っぷりも微笑ましいです。イエメンのあの人も信神深く落ち着いたインテリっぽさがなんとも言い難いオーラを放っており誠に男性的な魅力に溢れておりました。あの女の人はどっかで観たことあるなと思っていたけど『LOOPER』のサラの人(エミリー・ブラント)だったとは気づきませんでした、すみません。

劇場は女性客が多かった。若い女子が「ってか、結果、誰も得してないじゃん?」とか口にしていましたが、「お前に何がわかるんだ」と説教かましたった、という絵コンテを頭の中で描きながらエスカレータを下っていると、別の若い女子が「あの主人公のおっさんがさぁ…」とかほざいていて、「おっさんって……ユアン・マクレガーだぞ!おっさんじゃないだろお兄さんだろ謝れ今すぐ謝れおれに謝れこんちき」と憤慨する心を撫で付ける術は二十数年生きていれば身につけている。

僕は好きです。




『テッド』 ― 星に願いを。ビールとハッパとデリヘルが大好物の熊おじさんと良い人だけど大人になれない人間おじさんの友情と恋を巡る素敵なR指定の物語

最初から最後まで爆笑。最高の2時間。『LOOPER』を抜いて2013年暫定ベストに踊り出る。

観る直前にかつやでカツ丼食べたけど(これが「かつや」デビュー)今回は寝なかったぞ!寝る暇なんてなかった。笑いっぱなし。いちいち可笑しい。

マーク・ウォールバーグミラ・クニスの出会いのシーンでの"Stayin' Alive"パロディダンスも良かった。モーテルでの大乱闘のシーンも良かった。あちこち良かった。

宇宙人ポール』とテーマもテイストも似てるけど、爆笑度は『テッド』の方が高いかもしれない。(でも物語としてはポールの方が好きかも)

上映後は字幕監修の町山さんと映画秘宝の人のトークショー。話は主に町山さんが直した字幕について。アメリカでは常識だけど日本の人が知らない概念や商品名などをそのまま訳してしまうと伝わらないので、どう日本語に置き換えるか、という苦労。それと激しすぎる差別ネタをどうマイルドにするか。町山さん、カップルや女性客もいたのに躊躇なくいつもの感じで話すもんだから面白かったけどたぶん引いてる客もいただろうな。

それよりもなによりも日本で『テッド』が売れて売れて劇場がいっぱいになってるなんて信じられない。男同士の友情を描くブロマンスは女性客が入らないからってなかなか日本公開にならないし、『テッド』も去年の段階では「日本公開あるかなぁ……ノラ・ジョーンズが出てるからもしかしたら」なんて言ってたのに。かわいいクマさんにつられて入るカップルとか女性客がいるのかな。あんなのカップルで観たら気まずいんじゃないのか?でもこれを機にブロマンスがもっと劇場公開されるようになるとうれしい。

なんにしても監督&テッドの声のセス・マクファーレンさんには注目ですね。

楽しいコメディを観ると「おいらもこんなコメディ作ってみたいな」と思う。




『フラッシュバック・メモリーズ3D』 ― 事故に遭って記憶がなくなった。長い時間、覚えていられなくなった。

すごかった。3Dだったのだが、新宿バルト9の中でも小さめのスクリーンでの上映だった。けれどそんなことを感じさせないくらい引き込まれた。

現在のGOMMAさんたちの演奏をバックに事故前と事故後の写真とビデオ、日記の言葉がどんどん流れていく。

3Dの効果とカメラアングルのせいか、目の前にステージがあってそこで演奏しているのを聴いているような感覚。まさにライブ。重厚な音と「フラッシュバック」する画と言葉に浸ってるうちに終わってしまった。あっという間だった。

事故後のGOMMAさんのライブの様子。GOMMAさんの前に置かれた譜面台には「現在、静岡でライブ中」と書かれた紙が貼ってある。ステージに立って演奏してる間も記憶が持たないのか。自分の娘に渡すクリスマスプレゼントのセッティング。あの子は喜んでくれるだろうか。日記には「神様、この記憶だけは消さないでください」

「感動した」というとどうしようもなくチープだが、感動した。「心を打たれた」と書くと嘘くさいが、心を打たれた。

劇場で観てよかった。




ライフ・オブ・パイ』 ― 漂流したのはいいんだけどこの大きな猫と一緒ってのはちょっと困るんです

そして昨日、ユナイテッドシネマとしまえんに行って観てきた。公開初日の朝一、午前9時の回。デートでも家族サービスでもないのに豊島園駅で電車を降り、一人で劇場へと歩く。休日だったけど朝早くで助かった。お昼とかじゃなくて良かった。

「大丈夫だよ、豊島園そんなに流行ってないから」

……。

席は半分くらい埋まってただろうか。左右の席が空いていてゆったりできたのがよかった。

冒頭から気持ちの良い3D。パイの由来となったというママジが訪れたフランスのプールのシーンは美しかった。ママジは可笑しかったけど。この時点で「あ、いい映画だ」とピンときた。

大きな猫のリチャード・パーカーと少年パイの交流、成長してからのパイとリチャード・パーカーの関係は手塚治虫先生の『ブッダ』に出てくるタッタを思い出させた。

海を泳ぐリチャード・パーカーの耳が下がっててかわいかった。やっぱり猫。

それにしてもボロ泣き。パイが初めて生き物を殺すとき。パイの中に生まれるリチャード・パーカーへの友情と愛情。ボロ泣き。後半はもう辛かったし悲しかった。涙ぬぐうのに3Dメガネが邪魔だった。

IMAX3Dだからというだけではなくてストーリーと画の見せ方も大きいんだろうけどスクリーンへの没入感と臨場感はすごかった。あの朝焼け(夕焼けだったか?)もクジラのシーンも浮島もすごかった。3D体験と物語の両方合わせて最高だった。

エンドロールも良かったなぁ。やっぱり3Dは「飛び出し」よりも「引き」が効くよなぁ。

設定だけならただの漂流モノになりそうなところで、パイの信仰とリチャード・パーカーとの関係に焦点を当てたおかげか感動的な出来栄えになってた。助かったけど、最後は本当に寂しいというか悲しいというか……もう涙あふれたとしかいいようが……

オールドパイを演じたスラムドックミリオネアの人が良い味出してました。出ている時間は青年パイに比べたら少ないけど、彼がいなかったらこの映画にここまで泣かされなかったと思う。

そして日本語もいっぱい出てきます。どうせならあそこはちゃんと日本人使えばよかったのに。

というわけで2013年ベスト更新。帰りは人目を避けるようにして劇場から駅へ急いだ。





で、『レ・ミゼラブル』だ。

駄目だった。本当に困った。スクリーンに入りきれずに物語にも乗り切れずになんとか追いつこうと誰かに感情移入しようと劇場の座席で苦しんでいる自分を空中から見ているような感覚さえあった。

「なんで入り込めないんだ?余計なこと考えずに集中しろ」

考えれば考えるほど入り込めない。当たり前だ。考えないことを考えるなんて悪循環しか生まない。

気づかないうちにホームから落ちていたのだ。入り口を間違えたのかもしれない。他の人間たちを乗せた列車はもうとっくに見えないところまで進んでいるのに、乗れなかった列車の扉を探してずっと地面を掘っていた。

「なにも出てきやしないのに。それと、次の列車が来るのは2時間後だよ」

読んでいるのが小説なら一度、本を閉じて再出発もできる。でも映画は止められない。

「いや、映画だって再出発できるぞ。劇場を出ればいいんだ」

そうするべきだったのだろうか。


この苦しみは以前にも一度味わっている。『キック・アス』を観たときだ。

町山さんも映画秘宝もみんなみんな大絶賛のあの映画を観てる間、ずっとある疑問が頭を占めていた。

「いつ来るんだ?」

ついにビッグウェーブは来なかった。いや、大きめの波は来た。最後に来たその波には流されただけで乗りきれはしなかった。

「こんなはずじゃなかったのに」

キック・アス』のときも『レ・ミゼラブル』のときも、観ている間は焦りを感じた。観終った後は寂しさを感じた。

「みんなは楽しそうにしてるのに、どうして僕だけ置いてけぼりなんだ?」

レ・ミゼラブル』の欠点を挙げることもできるが、それよりも映画の見方がわかっていなかったんだと思う。当たり前だけれど、誰にでも合う映画などないし、そのときの状態でその作品を楽しめるかどうかも変わる。

評判の良さに身構えていた。もっとフラットな状態で観るべきだったし、もしそうできたとしても楽しめる保証などもとからない。

作品の良さは「作り手の腕」だけじゃなくて「観客の状態」との兼ね合いで決まる。


……まぁ、そうなんだろうけど、楽しみたかったんだよな、やっぱり。


置いてけぼりになって1人で泣いているところをサシャ・バロン・コーエンに拾われて宿屋でこき使われて育ったような感じ。でも手を差し伸べてくれたのは彼しかいなかったんだ。SB・コーエン、嫌な奴だけど大好きだ。ありがとう。


そんなことを書いたらムラヤマ接骨院の院長から言われた。

「SBコーエンが出てる時点で、そういう差別を受ける準備ができてた変態だ。それが、本望だったんだよ。気付きを得たから、成功だよ」

そうだな。そう思うことにしよう。



2013年に観た映画

2012年に観た映画

見た日付 「邦題」"原題" ♪:映画館で(劇場名) ※:リピート


2013-01-06 「ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間」
2013-01-07 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
2013-01-08 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
2013-01-08 「ホビット 思いがけない冒険」♪(@ユナイテッドシネマとしまえん
2013-01-09 「デス・プルーフ
2013-01-10 「レ・ミゼラブル」♪(@新宿バルト9)
2013-01-11 「X-MEN ファースト・ジェネレーション」
2013-01-12 「LOOPER/ルーパー」♪(@新宿バルト9)
2013-01-13 「エヴァンゲリオン 新劇場版:序」
2013-01-13 「エヴァンゲリオン 新劇場版:破」
2013-01-13 「スモーキング・ハイ」"Pineapple Express"
2013-01-14 "it's kind of a funny story" ※
2013-01-15 「シン・シティ
2013-01-15 「クローバー・フィールド」
2013-01-16 「砂漠でサーモン・フィッシング」"Salmon Fishing in the Yemen"♪(@新宿ピカデリー
2013-01-17 「第九地区」
2013-01-19 「テッド」♪(@TOHOシネマズ渋谷 上映後、町山さんトークショー
2013-01-22 「Documentary of AKB48 show must go on 少女たちは傷つきながら夢を見る」
2013-01-25 「トゥルー・グリッド」
2013-01-25 「フラッシュバック・メモリーズ3D」♪(@新宿バルト9)
2013-01-26 「ライフ・オブ・パイ」♪(@ユナイテッドシネマとしまえん
2013-01-26 「ウォッチメン
2013-01-27 「スターシップ・トゥルーパーズ
2013-01-28 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
2013-01-30 「チーム・アメリカ/ワールド・ポリス」
2013-01-31 "ORGASM Inc."

2013-02-01 「エンド・オブ・ザ・ワールド」♪(@ヒューマントラストシネマ渋谷)
2013-02-02 "MUGABE AND THE WHITE AFRICAN"
2013-02-05 「ウォーク・ハード ロックへの階段」"Walk Hard: The Dewey Cox Story"
2013-02-06 「マイノリティ・リポート
2013-02-07 「人生、ブラボー!」♪(@シネスイッチ銀座
2013-02-07 「さよなら ドビュッシー」♪(@新宿ピカデリー
2013-02-08 「ガタカ
2013-02-08 「オブザーブ・アンド・レポート]
2013-02-09 「ムーンライズ・キングダム」♪(@フォーラム山形)
2013-02-16 「寝取られ男のラブバカンス」
2013-02-17 「ゴーストライダー2」
2013-02-18 「バットマン リターンズ
2013-02-19 「ゼロ・ダーク・サーティ」♪(新宿バルト9)
2013-02-19 「グリーン・ホーネット
2013-02-20 「ショーシャンクの空に
2013-02-22 「ディパーテッド
2013-02-22 「世界にひとつのプレイブック」"Silver Linings Playbook"♪(@TOHOシネマズ六本木)
2013-02-23 "Under Our Skin"
2013-02-23 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
2013-02-23 「パーカー」♪(@新宿バルト9)
2013-02-23 「アウトロー」♪(@新宿バルト9)
2013-02-27 「タクシードライバー
2013-02-28 「続・荒野の用心棒」

2013-03-01 「スター・トレック
2013-03-01 「エクソシスト
2013-03-02 「フライト」♪(@新宿バルト9)
2013-03-03 「ジャンゴ 繋がれざる者」♪(@新宿ピカデリー
2013-03-04 「ミュンヘン
2013-03-06 「アドベンチャーランドへようこそ」
2013-03-07 「エルム街の悪夢
2013-03-08 「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室」"Charlie Bartlett"
2013-03-10 「僕の大切な人と、そのクソガキ」"Cyrus"
2013-03-11 "K-19: The Widow Maker"
2013-03-11 「ギャング・オブ・ニューヨーク
2013-03-11 「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」
2013-03-14 「グラン・トリノ」※♪(@目黒シネマ)
2013-03-14 「人生の特等席」♪(@目黒シネマ)
2013-03-14 「ハロウィン」(2007年版)
2013-03-15 「デアデビル
2013-03-15 「真夜中のカーボーイ」♪(@早稲田松竹
2013-03-15 「イージー・ライダー」※♪(@早稲田松竹
2013-03-15 「オズ はじまりの戦い」♪(@ユナイテッドシネマとしまえん
2013-03-15 「アニマルハウス」
2013-03-17 「クラウド アトラス」♪(@新宿ピカデリー
2013-03-19 「ファイト・クラブ
2013-03-19 「キング・オブ・コメディ」
2013-03-20 「愛、アムール」♪(@Bunkamura ル・シネマ)
2013-03-20 「偽りなき者」♪(@Bunkamura ル・シネマ)
2013-03-22 「シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜」♪(@フォーラム山形)
2013-03-25 「ルディ」
2013-03-26 「愛しのローズマリー

2013-04-23 「リンカーン」♪(@フォーラム山形)

2013-05-04 「図書館戦争」♪(@ソラリス
2013-05-04 「アイアンマン3」♪(@ソラリス
2013-05-04 「ザ・マスター」♪(@フォーラム山形)
2013-05-05 「ジャッキー・コーガン」♪(@フォーラム山形)
2013-05-06 「シュガー・ラッシュ」♪(@米沢ワーナーマイカルシネマズ
2013-05-06 「L.A. ギャングストーリー」♪(@米沢ワーナーマイカルシネマズ
2013-05-13「素敵な人生の終わり方」
2013-05-17 「ブルース・ブラザーズ
2013-05-18 「ゾンビランド
2013-05-18 「ミート・ザ・ペアレンツ」
2013-05-19 「セデック・バレ」♪(@フォーラム山形)
2013-05-19 「魔女と呼ばれた少女」♪(@フォーラム山形)

2013-06-02 「孤独な天使たち」♪(@フォーラム山形)
2013-06-02 「シュガーマン 奇跡に愛された男」♪(@フォーラム山形)
2013-06-03 「ハッシュパピー バスタブ島の少女」♪(@フォーラム山形)
2013-06-09 「ローマでアモーレ」♪(@フォーラム山形)
2013-06-10 「カルテット!人生のオペラハウス」♪(@フォーラム山形)
2013-06-15 「オブリビオン」♪(@米沢ワーナーマイカルシネマズ
2013-06-16 「華麗なるギャッツビー」♪(@フォーラム山形)

人生はまとめだず ― 2012年新作映画に順位をつける

アイアンマンの続きを書き終えぬまま大晦日を迎えてしまった。あと数時間で年が明ける。

今年観た40本の新作映画のランキングをつけて今年のまとめに代える。どこが良くてどこがダメという評価ではなく「好き」な順番に作品をあげていった。10位まで選び出してみると映画にどのようなものを求めているのかが少しわかる。自分が映画に限らず「物語」に求めているもの。「物語」に託そうとしているものが見える。だから「映画のまとめ」というより「自分のまとめ」になる。

結局は自分に欠けているものを「物語」に補ってもらおうとしているのだと思う。無いものをねだっている。小田嶋隆さんが映画について語っていたときの言葉が印象に残っている。

「友情みたいな物語にもとても弱いんだよ。なぜかというと、友情って本当はないから」


無いものはつくればいい。作り物でもかまわない。フィクションは虚構だけれど、虚構だろうが機能すればいい。


迷った挙句、5位と10位がそれぞれ2本ずつある。結果、1位から10位まで12本になった。

「そういうときって普通、5位の次は7位にしたりして10位までに10本にするんだよ」

そんなの知らない。


【10位】
 『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』"Jeff, who lives at home"
 『バッドトリップ 消えたno.1セールスマンと史上最悪の代理出張』"Cedar Rapids"
 
 

 


【9位】
 『アイアン・スカイ』"Iron Sky"

 


【8位】
 『ヘルプ 心がつなぐストーリー』"The Help"

 


【7位】
 『フィフティ・フィフティ』"50/50"

 


【6位】
 『戦火の馬』"War Horse"

 
 

【5位】
 『アベンジャーズ』"The Avengers"
 『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』"The Dictator"

 

 


【4位】
 『ミッドナイト・イン・パリ』"Midnight in Paris"

 
 

【3位】
 『桐島、部活やめるってよ

 


【2位】
 『宇宙人ポール』"Paul"

 


【1位】
 『人生はビギナーズ』"Begineers"
 
   



【ベスト犬賞】
 アーサー(『人生はビギナーズ』)
 
 

2012年の〔新作映画〕で観たもの

劇場公開されているものは、2012年公開のもの、または2011年の年末に公開で2012年に上映されていたもの。
ビデオスルーのものは2012年にビデオ発売/レンタル開始のもの。

見た日付 「邦題」"原題" ♪:映画館で(劇場名) ※:リピート


2012-04-02 「ドライブ」♪(@新宿バルト9)
2012-05-26 「ヒミズ」♪(@目黒シネマ)
2012-06-15 「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」♪(@フォーラム山形)

2012-08-01 「ダークナイトライジング」♪(@フォーラム山形)
2012-08-03 「ダークナイトライジング」♪※(@フォーラム山形)
2012-08-04 「プロメテウス」♪(@フォーラム山形)
2012-08-10 「ドラゴンタトゥーの女
2012-08-14 「アベンジャーズ」♪(@ユナイテッドシネマ豊島園)
2012-08-14 「宇宙人ポール
2012-08-19 「人生はビギナーズ」♪(@目黒シネマ)
2012-08-19 「ヘルプ 心がつなぐストーリー」♪(@目黒シネマ)
2012-08-31 「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」

2012-09-01 「プロメテウス」♪※(@ユナイテッドシネマ豊島園)
2012-09-01 「アメイジングスパイダーマン」♪(@新宿ミラノ2)
2012-09-05 「フィフティ・フィフティ」
2012-09-08 「ディクテーター」♪(@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
2012-09-09 「桐島、部活やめるってよ」♪(@池袋シネリーブル)
2012-09-16 「桐島、部活やめるってよ」♪※(@新宿バルト9)
2012-09-16 「キャビン・イン・ザ・ウッズ」♪(「映画秘法祭り」@浅草公会堂)
2012-09-20 「ヒューゴの不思議な発明
2012-09-20 「ヤング・アダルト」

2012-10-16 「ファミリー・ツリー」"The Descendants"
2012-10-16 「人生はビギナーズ」※
2012-10-16 「小悪魔はなぜモテる?!」"easy A"

2012-11-01 「アイアン・スカイ」♪(@新宿武蔵野館
2012-11-02 「アルゴ」♪(@新宿ピカデリー
2012-11-03 「サニー 永遠の仲間たち」♪(@早稲田松竹
2012-11-03 「桐島、部活やめるってよ」♪※(@早稲田松竹
2012-11-10 「悪の教典」♪(@新宿バルト9)
2012-11-15 「ソハの地下水道」♪(@品川プリンスシネマ
2012-11-22 「ミッドナイト・イン・パリ」♪(@早稲田松竹
2012-11-24 「映画と恋とウディ・アレン」♪(@TOHOシネマズシャンテ)
2012-11-24 「危険なメソッド」♪(@TOHOシネマズシャンテ)

2012-12-16 「J・エドガー
2012-12-19 「ヘッドハンター」"Headhunters"
2012-12-20 「戦火の馬」
2012-12-20 「バッドトリップ 消えたno.1セールスマンと史上最悪の代理出張」"Cedar Rapids"
2012-12-21 「アーティスト」
2012-12-22 「アタック・ザ・ブロック
2012-12-22 「ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡」"Jeff, who lives at home"
2012-12-23 「アベンジャーズ」♪※(@目黒シネマ)
2012-12-23 「プロメテウス」♪※(@目黒シネマ)
2012-12-23 「007 スカイフォール」♪(@ユナイテッドシネマとしまえん
2012-12-24 「ロボット」
2012-12-26 「おとなのけんか
2012-12-27 「へルタースケルター」♪(@早稲田松竹
2012-12-27 「苦役列車」♪(@早稲田松竹

これからの「アイアンマン」の話をしよう 〔後編〕

これからの「アイアンマン」の話をしよう 〔前編〕 からの続き


ジョーカーと並んで大好きなキャラがアイアンマンだ。やっとアイアンマンの話に入れた。これからはアイアンマンの話をしよう。

まず初めに誤解してほしくないのだが「アイアンマン」と言っても決して卑猥な言葉ではない。断じて違う。確かにそんな響きはあるが。いや、ないが。

アイアンマンはマーベルコミックス(アメコミ)のヒーローの1人だ。


 
 スパイダーマンとかX-MENとかうじゃうじゃ。ん、ハルクの隣はクリムゾンボルトか?


最初に言っておくとアイアンマンのコミックは読んだことがない。それに、コミック版やアニメ版のアイアンマンはあまり好きではない。僕が好きなのは実写映画『アイアンマン』のアイアンマンだ(このことは僕のアイアンマン愛の本質に関わることなので後でもう一度触れる)。なので、これ以降の「アイアンマン」という言葉は、2008年公開の『アイアンマン』、2010年公開の『アイアンマン2』、2012年公開の『アベンジャーズ』という3つの映画に出てくるアイアンマンのことを指す。


アイアンマンには社長が入っている。


 
 現地で武器の実演販売。このあとえらいことになって武器屋をやめる。


武器を作ってる大きな会社の社長。中年。でもヒーロー。でも中年。トニー・スタークというアイアンマンの中の人も僕のアイアンマン愛に大きく関わっている。たった数秒だが、彼の一面をうまく切り取った印象的なシーンがある。



このシーンはPVにも使った。『アベンジャーズ』でのキャプテンアメリカのスティーブとトニー・スタークの会話。何やら揉めているぞ。スティーブがトニーに喧嘩腰で問い詰める。


 

 スティ「えらそーにしやがって、パワードスーツ脱いだらてめーには何が残るんだよ?」

 
 

 トニー「んー。天才、金持ち、モテモテ、博愛」


真顔で言う。本気のようで冗談。冗談のようで本気。センスの良い嫌味なユーモア。バランスの取れた突き抜け方。

「ソークール。トニー、イカシテルゼ」

彼を語る上でこのシーンは欠かせない。空の上から見ている分にはこれだけでも十分おもしろい人間に写るのだが、彼自身が天才的な開発者であるというところにトニー・スタークの大きな魅力がある。

『アイアンマン』第1作で彼はアイアンマンスーツ(一般的にはパワードスーツと呼ばれるようです)を自らの手で作り上げる。悪党に捕まって「お前さん天才なんだろ、オレたちにすんごい武器つくったら解放してやんよ」と交換条件を突きつけられたときには、監視される中、トントンカンカンやりながらこっそりと、いや堂々とパワードスーツを作った。


 
 トントンカンカン鉄を打つ。「ただの社長じゃねえってところを見せてやるぜ」とは別に言っていない。


で、自分で装着して逃げた。


 
 初代鉄男。ごっつくてかっこ悪いけど囚われの身で武器の材料を流用して作ったのだから仕方がない。


逃げ帰ったトニーはアイアンマンスーツの製作に取り掛かる。


 
 
 
 タッチパネルのインターフェースがかっこいい。トニーもかっこいい。


何がかっこいいってトニーの顔がかっこいいのだ。開発をしているときの顔つき。ただの社長で金持ちのモテモテプレイボーイではない。トントンカンカン。カタカタピコピコ。このときの真剣な顔つきにしびれるのだ。モテモテプレイボーイおじさんでありながらやるときはビシッと。やるときはビシッとやりながらハイセンス身勝手ユーモアたっぷり。そういった突き抜けた「人間の在り方」に魅せられるのだ。

設計して製作して試験して改良して、自分の頭と自分の体を使って結局トニーは1人でアイアンマンスーツを完成させる。この段階ですでにトニーが好きになっている。アイアンマンスーツを装着して何か活躍をしたわけではない。まだアイアンマンスーツを作っただけだ。

「ああ……こういうのだよ、こういうの、いいなぁ……」

胸が熱くなるようでどこか淋しくなるようなあるいは虚しくなるような、けれどどこか何かを満たしてくれるような、そんな感情をアイアンマンスーツを作りあげたトニーを見ていて感じた。この複雑な感情の原点にはたぶん「工作」がある。

工作が好きだった。幼稚園に通っていたころは新聞紙やチラシをクルクル巻いてできる「硬い棒」で「剣」や「銃」や「鎧」をよく作っていた。油粘土や紙粘土で何かを作るの好きだった。小学生のころはプラモデルやミニ四駆など組み立てる作業が好きだった。理科の授業で小さなソーラカーを作るのをすごく楽しみにしていた。

最近(とは言っても何ヶ月も前だが)、あることがきっかけで小さなころのことを思い出した。今年の初めにゲレンデへ出かけたときのことだ。リフトに乗ってふと上のほうを見上げると滑車が目に入った。リフトの運命を握っているあの滑車だ。(どの滑車かイメージがつかない方はこちらを) 「滑車だなぁ」と思いながらリフトに運ばれていると、ゴール(折り返し地点)のところで今度は大きな滑車が見えた。その瞬間に思い出した。

「滑車を使った模型を作りたかったんだよなぁ」

ロープに滑車をつけてモーターで回す。何をさせたいかじゃない。何か動くものを自分で作りたい。具体的な機能じゃない。「仕組み」があるものを自分で考えて自分で組み立てたい。小さいころは僕の中で「滑車」が「仕組み」の象徴だった。滑車に誘導されて動いていくロープ。その配置。

ミニ四駆にもはまったけどあれはほとんど既製品じゃないか。組み立てる作業は楽しかった。でも自分で「仕組み」を作るわけではない。いろんなパーツをくっつけていくのだって「カスタマイズ」に過ぎない。楽しいよ。楽しいし、好きだったけどね。

結局、滑車の模型づくりは実現しなかった。もしかしたら何かしら作ったかもしれないけど、思うようなやり方で思うようなものを作ることはできていないと思う。別に何か障害があったというわけでもない。ただ「作りたいな」と漠然と思いながら作らずにいつの間にか時間が経っていた、とたぶんそれだけだ。

『アイアンマン』第1作でトニー・スタークに惹かれたのは、アイアンマンスーツを1人で作っていく彼に、かつての「工作少年」の想いが重なったからなのだと思う。工作少年の究極の夢ともいえる「パワードスーツ作り」をいとも簡単に成し遂げる。やりたかったことをやってくれたトニー・スタークに憧れながら、やりたかったのにできなかったことを思い出してなんだか複雑な感情にもなる。


滑車のことに限らないのだが、幼稚園や小学校低学年くらいの記憶を思い出すとなんだか切ないような苦しくなるような気持ちになるのはなぜなんだろうか。嫌な思い出ではなく楽しい思い出だとしてもだ。いや、正確には「当時の自分が楽しいと感じていた」記憶だが。けれど、どうして自分が楽しいと感じていた過去でさえ現在の自分を「楽しさ」以外のよくわからない感情にさせるのだろう。……すぐに答えは出そうにないから戻る。


とにもかくにも第1作でトニーがアイアンマンスーツ(マーク3)を完成させるまでの流れはアツい。この時点でトニーにどっぷりと浸かってる。クリストファー・ノーラン監督のバットマン3部作の第1作『バットマン・ビギンズ』(ダークナイトの前作)でもブルース・ウェインバットマンスーツを完成させていく似たような流れがあって、こちらも男の子にはたまらないものがあるのだが、金に物を言わせて結局作ったのは会社の応用科学部を始めとする下々の者だった。だいたい海外に発注とかしてるし。あれはほとんど既製品じゃないか。バットマンスーツはミニ四駆だよ。楽しいよ。楽しいし、好きだけどね。

バットマン・ビギンズ』はどちらかというとブルースがバットマンになるまでの精神的/身体的な葛藤や苦闘を描いているわけだから、単純に比較しちゃいけないのかもしれない。けれど、同じ大金持ちでも自分でトンカチトントンカンカンやっちゃう泥臭さを併せ持ったトニー・スタークが僕は好きだ。

トニー・スタークを演じているのがロバート・ダウニー・Jr.だということも大きい。コミック、アニメ版の「アイアンマン」と実写映画版のアイアンマンを区別して話を進めている理由の1つは彼にある。もしものことはわからないが、ロバート・ダウニー・Jr.以外の他の俳優が演じていたらこれほど好きにはなっていないと思う、たぶん。設定と俳優とを切り離したら「トニー・スターク」ではなくなってしまう。もちろんこの映画の前から「アイアンマン」というマーベルコミックスのヒーローを知っている人間にしたら話は違うのだろうが、僕の中では「金持ちでちょっと身勝手だけどモテモテの天才開発者中年」という設定だけでなく、ロバート・ダウニー・Jr.とセットではじめて大好きな「トニー・スターク」になるのだ。

おそらくこういう役が彼にはすごく合っているのだと思う。演技には見えない。もちろん入念な役作りがあったのだとは思う。でもすごく自然だ。アイアンマンを観てから、彼が出ているここ数年の作品をいくつか観たが、全部同じ役だった。『ゾディアック』も『シャーロックホームズ』シリーズもトニー・スタークだった。でも、全て見事にハマッていた。彼みたいなのを「個性派の俳優」というのでしょうか。

ザック・ガリフィアナキスも好きな「個性派の俳優」の1人だ。『ハングオーバー!』で初めて知って以来、大好きだ。彼もどの作品に出ても同じ役になってしまう。

そんなザック・ガリフィアナキスロバート・ダウニー・Jr.の二人が主演をしている『デュー・デート』という夢のような映画がある。



最高だった。笑いっぱなし。しかもザックは笑わせるだけじゃなくて泣かせるんだよ。ずるいよなぁ。ロバート・ダウニー・Jr.はやっぱりトニー・スタークだし。もう、好きです。


トニー・スタークに魅せられるのには「工作少年の記憶」が関係しているということを書きたかった。アイアンマンの中の人の話だ。もちろんアイアンマンについてはこれでは終わらない。肝心のアイアンマンスーツの魅力を書いていない。アイアンマンの外の人の話だ。違うか。

キリもいいし収集もつかなさそうだし、ここでいったん閉じよう。「後編」だったはずだけど……まだ続きます。次は「番外編」。じゃないな、むしろ次がメインのアイアンマンスーツの話だ。いや、アイアンマンスーツと限定してしまうと少し違うかもしれない。アイアンマンスーツを装着したトニー・スタークのことだ。うん、つまりアイアンマンと言えばいいんだな。

アイアンマンに魅せられることにも幼いころの記憶が関係していると思う。おそらくあの有名なテレビシリーズが絡んでいる。

何でもかんでも原因を幼少期の体験に求めるのは無理があるとは思うけど。

では、次回は『これからも「アイアンマン」の話をしよう』。

これからの「アイアンマン」の話をしよう 〔前編〕


暑いな暑いななんでこんな暑いんだ助けて助けて汗止まらん夏なんてでぇっきれえだと思っていたら、気づくと素手では自転車がきつい時期になっていた。

12月だ。

1年の総括の時期だ。

だからPVを作った。

このあいだアカペラについての恥ずかしさを文字に書き起こしてしてから、なんだかもう恥ずかしさなんて気にならなくなった。

だからPVを作った。

自分の好きなものを「好きだ」と言うことへのためらいなんてどこかに行ってしまった。

だからPVを作った。

(でも本当はそこまで気の大きな人間になったわけじゃない)

(だからPVを作った)



歯車ボタンで高画質に変えることができます。


12月なので今年観た映画についてのまとめのようないわゆるランキング作りのようなそんな作業をしていこうと考えていた。けれど、「この作品が1位」とすぐにスパッとひとつ選ぶのも難しい。あれやこれやと頭に浮かんでは消えあれでもないこれでもないと一向に決まらない。優柔不断なのは昔からだ。とりあえずアプローチを変えて「どのキャラが好きか?」と考えることにした。

キャラというと語感としてはノーマルな人間は入らないような気がする。「好きなキャラは?」と問われて「ええと……『桐島、部活やめるってよ』のたけふみかな」とか答えたらなんだか出題者の意図をはずしているような気がする。正解はたとえばマリオとかロックマンとかカーヴィとかそういったものだ。いや、「キャラ」の正確な定義は知らない。僕の中に形成された「キャラ」という名詞をとりまくイメージがそういうことだ、ということだ。

語感とか言葉の意味の形成のようなものは彫刻に似ている。知らない言葉に出会うということは何か得体の知れない大きなカタマリを渡されるようなもので、その言葉に様々な文脈で出会うことでカタマリが削られていくうちにその言葉の形が浮かび上がってくる。カタマリが何がしかの形となる過程で言葉の意味を理解していく。これまでにどのような場所でどのような文脈に出会ってきたかでその時点での暫定的な「意味」が決まってくる。だとすれば一人の人間の中で、ある言葉の意味やその言葉の持つ語感が変わるということだってありえる。

だから二人の人間の間で同じ言葉の意味に相違があっても不思議ではない。とはいっても自分だけの独自の意味に進化することもないとは思う。文脈というのは自分以外の人間が作りだす言葉の流れだ。他人の言葉によって自分の中に意味が形成される。接した文脈によって多少の個人差はあれど、それが共通項を全く持たないような意味になってしまうことはない、たぶん。初めに受け取ったときのカタマリのまま削っていく作業をせずにポンとラベルを貼っただけ、ということがなければ。でも、そういう言葉は多い気がする。辞書で調べてわかった気になった言葉なんかがそれかもしれない。違うかもしれない。

文脈によって個人の中で言葉の意味が形作られるのに対して、一方では例えば学術的な言葉には初めから厳密な定義が与えられているものも、いや、やめておこう。それはともかく「今年観た映画で好きなキャラは?」だ。

答えはすぐに出た。そもそもそういった「キャラ」の候補者が少ないのだ。制約の多い問いは答えやすい。パッと二人のキャラの名前が出てくる。

ジョーカーとアイアンマンだ。

けれど待て。まずジョーカーは今年のキャラじゃない。『ダークナイト』は2008年の映画だし、それ以前のバットマンシリーズでもジョーカーは出演していた(観てないけど)。「今年公開された映画」ではなく「今年観た映画」から選ぶからそういうことになる。だって「今年公開された映画」で観たものって少ないんだもん。だからこっそり「今年観た」にしておいたのだ。とりあえず初めは「今年観た」で考える。候補なくなっちゃうし。

ジョーカーについては以前書いた。大好きだ。

2008年の公開当時には映画などほとんど観ていなくて、今年になってDVDで観た。ヘッドホンを耳に当て、部屋の電気を消し、ノートパソコンの小さな画面で観た。

魅了された。なんて吸引力だ。ジョーカーは悪いやつだ。でも大好きだ。以来、ジョーカーの出てくるシーンは何度も見た。特に取調室での語りが好きだ。

ジョーカーに初めて出会ってから半年ほどしたある日、目黒シネマの発表に衝撃を受けた。『ダークナイト』『ダークナイトライジング』二本立て。劇場で『ダークナイト』を上映する。

ジョーカーが大きなスクリーンで見られる。

その情報を目にしてから1ヵ月、楽しみにしていた。

そしてついに先月末、約束の地へ訪れた。

目黒駅西口を出て数分、10時25分には目黒シネマの前に立っていた。入り口からすでにダークナイト特集が始まっている。ポスターや雑誌記事を眺めながら階段を下っていくとノーラン版バットマンのテーマが聴こえてくる。


気分が高揚していく。券売機で割引チケットを購入して受付のお姉さんに渡す。前から3列目の真ん中、いい席に座れた。しかし、迂闊だった。とんでもない失態を犯してしまったことに着席してから気がついた。朝ごはんを食べるのを忘れていた。朝ごはんは一日のエネルギーだ。こんな状態でジョーカーについていけるだろうか。



早寝して 早起きしても 朝ごはんは 食べなきゃだめサァーッ


しかし過ぎたことは仕方がない。今できることをするだけだ。始まる前にトイレを済ませておこう。

場内が暗くなり予告編が流れ、『ダークナイト』が始まる。少しずつスクリーンの中に入り込んでいく。

2時間半。あっという間だった。ジョーカーを追っかけているうちに終わってしまった。



「オイラは先を読めるだけなんだ」得意げに言ったその次の瞬間、バットマンに殴られる


スクリーンの中で活き活きと動き回るジョーカーを見ているうちに涙が溢れてきた。別に泣くシーンではないのに。「ヒャハハ」と笑い声を上げていたり護送車にバズーカを打ち込んでいたりふらふらんなりながら道路の真ん中に歩き出てバットモービルを誘い込んだりバットマンにぶん殴られてぶっ飛んでいたり脱走してパトカーで逃げたり。

劇場で暗闇の中、大きなスクリーンで、大音響で観れた嬉しさはもちろん、考えまいとしても公開を待たずに逝ってしまったヒース・レジャーへの想いが重なってしまって、ジョーカーの動き・表情・語りの一つ一つに心を動かされてしまう。

ブロークバック・マウンテン』での彼と同一人物とはとても思えない。本当にジョーカーなのだ。スクリーンの中で本物のジョーカーが生きている。でももう彼はいない。ジョーカーは最後のシーンでバットマンに言う。

"I think you and I are destined to do this forever"

「アンタとオイラはな、ずーっとこれを続ける運命なんだよ」

でももう彼はいない。スクリーンの中にだけ、『ダークナイト』の2時間半にだけ、ジョーカーは生きている。そうやって見ると、宙ぶらりんのあのラストはものすごく泣けるシーンなんだ。



と、1人だけ泣くポイントを間違えながら観ていた。いや、もしかしたら同じところで泣いていた人も劇場内にいたかもしれない。

それが1人目の大好きなキャラ、ジョーカーだ。

アイアンマンの話をしようと思っていたのに長くなってしまった。キリもいいのでここらで後編につなぐ。